草木も眠る真夜中、街角にぼうっと浮かぶ不気味な炎の装飾。
その下を通りすぎるお化けやガイコツたちと、それを追いまわすカボチャ頭たち。

そして耳に届くのは、いまや恒例となったフレーズ

「“いたずら”されたい? それとも“お菓子”をくれる?」

そう、あの“世にも恐ろしい祭り”が再び帰ってきた。

各国の住民がこぞってお化けに扮し、冒険者を驚かすのが目的だったこの祭りも3回目。回を追うごとにアトラクション的な趣向が凝らされ、今回では新たな遊びも用意された。

「当方、スケルトン!!ハウンドになった人、いたら返事くださーーいっ!!」

その結果、街の広場はカボチャ頭とモンスターで埋め尽くされ、絶えず飛び交う叫び声が、人々の笑いを誘った。

各地の冒険者は、この祭りをどのように楽しんでいるのだろうか? 記者はまず、バストゥークへと赴いた。

いつもより賑やかな商業区に足を踏み入れた途端、目に飛び込んできたのは“世にも恐ろしい”光景だった。

なんと、10匹(?)ぐらいのモンスターが、Trick Spiritを先頭にした列となって目の前を駆けていったのだ。その正体が冒険者で、なんの危険もないことが分かっていても、遭遇したときの衝撃は筆舌に尽くしがたいものがあった。

しばし茫然としたものの我に返った記者は、Uターンしてきた列にすぐさま伴走し、Trick Spiritのすぐ後ろを走るクゥダフに話を聞いた。

「このTrick Spiritの人が、商業区をどんなルートで走ってるのか調べようと思って後をつけてたら、リンクシェルの友だちが、われもわれもと集まってきて、気がついたらこんなことになっちゃったんだ……。そろそろ疲れてきたんだけど、まだ楽しんでる皆にどうやって切り出そうか迷ってるんだよね」

そう言ってクゥダフの短い首をすくめた彼は、仲間と共有する時間を楽しんでいる様子だった。

次に訪れたサンドリアでは、記者は“世にも見事な”イタズラにひっかかった。

工人通りに立っていた2人のゴブリン。1人は、以前からそこでカラフルなチップを取り扱っているゴブリンだったが、もう1人は面識がなかった。

「オマエ、お菓子買え。たくさん、作った。安い。オマケで手伝う。赤いフォークもらおうか」

紐のゆるくなった冒険者の財布を当てこんだゴブリン商人が、お祭りの期間中に露店を出すことは珍しくない。彼もそんなゴブリンの1人だと思い、バザーを覗いてみると、「ゴブリンチョコ」「ゴブリンパイ」「ゴブリンドリンク」など、ゴブリンにまつわるお菓子が、かばんいっぱいにつめこまれていた。

市場に流通している価格よりも少し高かったが、お祭り気分も手伝って記者は「ゴブリンチョコ」を1つ買うことにした。

「ガハハハ!!毎度ありぃーーーーーーーっ!!」

チョコと代金を交換した直後、記者は突然の出来事に言葉を失った。目の前のゴブリンは姿を消し、その代わりに背丈が倍以上もあるガルカが豪快に笑っていたのだ。

彼はひとしきり笑ったあとで、「トリック オア トリート?」とイタズラっぽく言うと、再び笑ってサンドリア港へと歩いていってしまった。記者は、してやられたのである。

最後に訪れたウィンダスでは、“世にも素敵な”カップルと出会った。

モンスターが街の中を徘徊する非日常的な光景の中で、2人の姿は特に目立っていた。なぜなら、1人は漆黒の羽根を持つヤグードのコスチューム、もう1人のエルヴァーン女性は純白のドレスにヤグードヘッドギアを身につけていたのである。

2人の雰囲気から、恋人以上であることは明らかだったが、なぜこんな格好で街を歩いているのだろう。特別な事情がありそうだったので、取材を拒否されることを覚悟しながら話しかけると、ヤグードの彼は快く応じてくれた。

「ボク、ホントはタルタルなんです。彼女は、見てのとおり。種族の違いこそあったけど、おたがいに惹かれるところがあって、こないだ結婚したんですよね。今、とても幸せなんだけど、ひとつだけ彼女にしてあげたくても、できないことがあって……。ずっと気にしてたんですよ。ほら、男なら一度は、ちゃんと女性をエスコートしたいじゃないですか。それで……」

男としての願望が、この祭りの中でなら実現できる。そう考えた彼は奥さんに相談し、このようなペアルックでデートすることにしたのだそうだ。

奥さんの方も、口説かれる形で夫の提案を受けたというが、「いざやってみたら、今まで気づかなかった夫のワイルドな部分を発見できた」と嬉しそうに微笑んでいた。

取材を終えた記者は、ジュノへ向かう飛空艇の甲板で、各地で祭りに参加していた冒険者の笑顔や笑い声を思い出した。身近な人たちと楽しい時間を過ごした彼らは、きっと互いに大切に思う気持ちを再確認できたはずだ。素晴らしい出会いや再会もあっただろう。

さて、この“世にも恐ろしい祭り”が終わったとき、あなたの胸には、どんな思い出が刻まれているだろうか?