思い出の品を握り締めるSeaterさん

最近モグハウスに帰るたびにモーグリから嫌な雰囲気が伝わってくるので何だろうと思っていたのですが、見ればモグ金庫が満杯でかなりの大荷物になってました。これはいけないと思って金庫の整理を始めたんですが、中には思い出の品がたくさんあって捨てられないものもいっぱい。特派員になったときにお祝いにもらった花とか、古い仲間のリン
クパールとか、ダンナがくれた婚約指輪とか(笑)。

今度お友達の木工職人さんにタンスでも作ってもらわないと。部屋のお片付けをしながらふと思ったのですが、他の冒険者の皆さんにも「何でもないアイテムが捨てられない」ってことがあるかしら? 今回はそのあたりを取材してみました。

Cafeさんが見せてくれたのは“麒麟大袖”。今じゃ値段の付かないような品ですし、それは貴重なものでしょう。ところがCafeさんはこんなお話をしてくれました。

「今じゃノートリアスモンスターを狩る人たちも珍しくないが、昔、できるだけ少ない人数で倒すことを目的としたチームを組んでいたことがあってね、みんなが力と知恵を搾り出して頑張っていたからね。結束の固さは並大抵じゃなかった。友情とかそんなレベルではないな。今はもう危ない橋を渡ることもなくなったが、この大袖を身に着けるとその頃を思い出して心が奮い立つんだ」

物の価値も並大抵ではないですが、それに込められた思い出はきっとプライスレスでしょう。

Seaterさんは以前、恋に落ちた殿方とともにモンスターに挑んで得た“リリスロッド”を大事に抱えて話してくれました。「なかなか手に入れられなくて、2人で14回も挑戦したの。でもね、ちょっと複雑で……。これが出ちゃうとそのヒトと一緒にいられなくなっちゃうんじゃないか、今日出ちゃったらどうしよう……って」

わかるわかる。わかりますわ、その気持ち。結局“リリスロッド”を手にすることになり、嬉しさ半分寂しさ半分だったSeaterさんでしたが、その心配は杞憂に終わったのです。

「その後、彼が結婚しようって真っ白なドレスを贈ってくれたの」

なんと幸せなことでしょう。式の日取りなどは決まったのでしょうか。

「でもね。彼、故郷に帰ってしまって、冒険者としては活動してないの。今の私にとっては“リリスロッド”もドレスも彼との思い出。ううん、彼の存在そのものだから。ずっと待ってます」

なんだかちょっとしんみりしちゃうお話ですが、Seaterさんは始終元気いっぱいで話してくれました。きっと彼が彼女の元に戻ってきて、幸せな夫婦となれることを、アルタナの女神様にお祈りしました。

聖堂でお祈りしていると、錬金術師のSaltolさん(仮名)が声をかけてくれました。知的なメガネをかけた端正なエルヴァーンの男性です。「この世の物質はすべて8つの属性で構成されるんだ。それ以上でも以下でもないね」

物の価値観は人それぞれ。挨拶をして立ち去ろうとすると、

「それが思い出ってほどでもないけどね……。あるんだ、実は」と、落ち着いた口調で話してくれました。

「まだボクが駆け出しの冒険者だった頃、学問は得意なボクだったけど戦闘系はまったくダメでね。なんで冒険者になんてなったのか悔やんだ時期もあったよ。そんなある日、ゴツいガルカと出会ってね。最初はなんて野蛮なヤツかと思ったんだけど、当時のボクにとっては手のでない武器を貸してくれてね。戦闘のイロハまで教えてくれたんだ」

へー、これはまた異色のコンビが誕生したわけですね。

「ところがね……日が暮れて別れるときに、借りた武器……そう、この“クレイモア”を、ボクとしたことが返しそびれてしまったんだ。ひどく疲れていたボクは彼の名前すら忘れてしまっていてね。次の日から探し回ったけれど、もう他の街へ行ってしまったのか、どうしても見つからなくて……今日に至るわけさ」

なるほど。Saltolさんは今では立派な冒険者としてその道を極めようとしているみたいですが、まだその“クレイモア”を大事に持ち歩いているとのこと。

「冒険者として成功した今のボクがあるのも彼のおかげなんだ。こいつは単なる物質だけど、ボクの知識では分析できない要素を含んでいるようでね……。なぜか手放す気になれないんだ。いや、きっと彼に返してみせるよ」

生涯をかけたSaltolさんのクエストが無事コンプリートできることを一緒にお祈りしました。何でもないアイテムだけど捨てられない。私だけではなかったようです。その人にとっての価値って、お金には換算できないものなんだなと改めて思いました。

大掃除の続きをしようと家に帰ってくると、ダンナのTathumaも帰ってきていました。

Tathuma「おいおい、またハデに散らかしたもんだな」
Myhal「違うもん。全部私の思い出だもん」
Tathuma「そんなこと言ってると片付かないぞ。俺の思い出はすべて胸の中さ」
Myhal「【へぇー】 だから私のあげた“フェイスガード”も胸の中なのね」
Tathuma「さーーて! 疲れたから寝るわ。おやすみ!」

どこにでもいるさえない戦士だけど、特別なんだなぁ……これが。