冒険者という呼び名は、何も国に代わってコンクェストを遂行する者の別称ではない。経験を積んだ冒険者は己の信じる道に従い、信じるべき仲間と共に、真に恐るべき存在と対峙する。 辺境にはノートリアスモンスターをはじめとして、１人はおろか冒険者が束になっても太刀打ちできない怪物が少なからず存在する。 その存在の脅威については、筆舌に尽くしがたく、街に住む者にとっては想像することさえ難しい。 だが、それらの脅威に挑み勝利を得る者たちこそが、真に冒険者と呼ばれるのである。 当然、討伐のために結成されるのは優れた冒険者による戦闘集団であろう。場合によっては、20人近い隊列が組まれることもある。そして、その隊の指揮者によって作戦が立案され、各人にも明確な役割が与えられる。 その時、各冒険者に求められるのは、任せられた役割をこなす能力と、一糸乱れぬ動きである。個人の蛮勇は必要ない。万一誰かが隊の動きを乱せば、それが原因となって隊が瓦解することもあり得るのだ。 あなたが、この様な集団に参加する経験を持っているのならば、わたしの言葉も理解できるだろう。 そして、まだこれらの経験を知らぬ者たちよ。焦る必要はないのだ。あなたが冒険者の道を歩み続ける以上、いずれその時は訪れるだろう。 共に戦う仲間が、信頼を寄せるに足る相手としてあなたを認めているならば、必ず助力を求めてくるだろうから。 その時の為に、自分の力を信じられるまでに精進せよ。そして、その時が来たらば勝利のために力の限りを尽くすがいい。 その戦いに勝利した時、あなたは自分が進んだ道を、誇りに思うだろう。