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誰しも、大公の数々の功績を考えれば、若く見積もっても40〜50歳の紳士をイメージするだろう。しかし、初めて謁見した者は、みな口を揃えて、このように語る。 |
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「噂には聞いていたが、まさか、あんなに若いお姿とは……」
話に聞く妖精もかくやという端整な目鼻立ち。
10代の少年と見紛うような輝く肌。
その美しさは、失礼な表現だが「人間離れしていた」というのが、とうに壮齢を迎えている筈の大公の容姿に対しての、彼らの素直な感想のようだ。
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また、容姿同様、大公の出自も謎に包まれている。
はっきりしているのは、まだジュノが小さな漁村だった頃、兄弟のEald'narche(エルドナーシュ)と共に流れ者として現れ、そこで数々の奇跡を起こして、いつしか村民から指導者と仰がれるようになった、ということだけである。
「多くの影武者がいる」「男神プロマシアの呪いがかけられている」
あまりにも神秘的な容姿と不確かな出自に対し、このような流言も少なくない。
いつの時代も、英雄に対するやっかみは、なくなることがないのだろう。
だが、現在の我々が、このヴァナ・ディールで平和と繁栄を享受できているのも、ジュノ大公あってこそだ。
もし、大公が現れなければ、この世界は、すでに獣人たちによって蹂躙されていたかもしれない
たとえ、どのような風評がたとうともジュノ大公が、我々にとって希代の英雄だということは動かしようのない事実だ。それゆえ、これらの風説は、大公の功績にキズをつけるどころか、逆に、大公をより謎めいた、神に近しい存在へと高めていくのである。 |

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