特集 東方の武器と精神
3.冷徹なる刺客

“ニンジャ(忍者)”。それは、東方より伝えられた忍びの術を会得し、数々の特殊な武器や道具に精通せんとする者である。

彼らは自らの素性と所属組織を秘匿するため、徹底した機密保持を貫いており、東方でも、その実態を知る者は少ないという。ただひとつ確かなことは、戦闘を目的のための手段に過ぎないと捉え、大義名分よりも任務達成を優先する特殊工作のプロフェッショナルだということだ。


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その思想は、彼らの武器にも色濃く反映されている。

彼らが護身・暗殺用に携える武器の多くは、“苦無”や“手裏剣”に代表されるように、携帯していることを他者に悟られないように小型軽量化した、いわゆる“暗器”である。また、“苦無”や“忍刀”のように、潜入や逃走の時に、道具として役立つものも多い。

武器がこのような特徴をもっているのは、確実に任務を遂行するために、極力、直接戦闘を避けて、自らの生存率を高めることに重点を置いた、彼らの戦闘理念を反映したものだ。

つまり、潜入のための道具と護身のための道具をまとめることで軽量化を図り、サバイバル能力の向上を追及した結果が、彼らの武器なのだ。

彼らの得意とする二刀流も、本来は一刻も早く敵を葬り、脱出の時間を稼ぐために編み出されたサバイバル技術なのである。

あらゆる局面に冷徹に対処できる修行を積んだ“忍者”は、彼らの武器と同様、己をも1個の武器、否、道具と化して確実に任務を遂行できるのだ。

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