かつて、大勢の冒険者たちがウィンダス森の区に集い、輪になって踊り明かした夜があった。
誰が名づけたのか、人々はそれを“Bon-Odori”と呼んでいた。
それから月日は流れたが、人々の記憶から“Bon-Odori”の思い出が消え去ることはなく、いつからか再びの開催を望む声が増えはじめた。
そんな中、ある冒険者たちが立ち上がったのだ。
彼らは、たった一夜のイベントのために、幾日も前から人集めや準備に奔走した。
当日のために、会場での誘導の仕方について打ち合わせたり、街で参加者を募るための宣伝文句に頭を悩ませたり、と大忙し。Palulu特派員の調査報告によると、ジュノからメアの岩までのテレポの無料便や、人気お笑い芸人の公演を手配したのも、彼らスタッフだったらしい。
また、慎重に検討された結果、今回はウィンダスだけでなく、西サルタバルタの星降る丘など、いくつかの別会場も用意することが決まった。
Myhal特派員が、ある女性スタッフにその理由を尋ねたところ、次のような答えが返ってきたという。
「街中が混雑して“Bon-Odori”に参加されない冒険者の方に迷惑がかかることを少しでもなくそうと思いまして、今回はできるだけ街の外にも出ることにしました。混雑のない会場で、参加者の方々に楽しんでいただくためにも……」
だが、会場を増やしたことによって、彼女たちスタッフの仕事も、前回以上に増えてしまったはずだ。
忙殺されることを承知の上で、彼女が今回のスタッフに志願したのはなぜなのか? 彼女はこう答えたそうだ。
「私の好きなヴァナ・ディールで、共に頑張っている冒険者たちのために、ひと時の安らぎの場を作りたいのです」
果たして、この想いは参加者たちに届くのだろうか。