特集 Bon Odori
Bon Odoriの夜

“Bon-Odori”当日、ジュノ発ウィンダス行きの飛空艇は、仲間同士で会場へ向かう団体客の利用が多く、ほぼ満員だった。この日、飛空旅行社の収益は、記録的な数字に達したとも言われている。

スタッフが事前に手配しておいた運賃無料のテレポ屋たちも大活躍した。あるテレポ屋などは、運賃を取らない代わりに天晶堂から仕入れた花火を乗客に販売していたらしいが、これも飛ぶように売れていったそうだ。

その頃、会場ではスタッフたちが続々と訪れる参加者たちを迎え、その案内や対応に追われていた。

数名のスタッフは、サンドリアやバストゥークなどに向かった。自国から会場まで徒歩でやってくる新米冒険者の護衛を務めるためである。

参加する冒険者は何もベテランばかりではない。むしろチョコボや飛空艇に乗れない新米冒険者たちこそ、初めての“Bon-Odori”を楽しみにしているかもしれないのだ。そう考えたスタッフたちは、彼らへの配慮を怠らなかった。

いよいよ時間になると、威勢のいい声と共に色とりどりの花火が一斉に打ち上げられた。“Bon-Odori”開催の合図だ。その瞬間、人々は歓声を上げた。

写真 事前の宣伝活動の甲斐もあってか、参加者の数は十分。ウィンダスの会場では、地元住民が用意した音楽に合わせて踊りはじめる者も多く、開始早々から参加者の“Bon-Odori”気分は高まっていった。

一方で、西サルタバルタなどの会場へも参加者が次々と移動し、各会場ともに賑わいはじめた。その様子を見た現地の住民は目を丸くして、「こんな大行列は見たことがない」などと、ひそひそ語り合っていた。

また、ウィンダスと西サルタバルタの会場に赴いたAcross特派員によれば、参加者たちが種族ごとに分かれてねり歩くという、めずらしい光景も見られたそうだ。 そうして、目立った混乱もなく参加者が分散すると、各会場には人々の輪ができはじめた。

あとは、心の赴くままに踊るだけ。それが“Bon-Odori”のルールだ。

あたりには、吟遊詩人の伸びやかな歌声が響き渡り、持ち寄られた花火が夜空で鮮やかに咲き乱れる。

会場に出店した冒険者の花火屋は大いに繁盛し、手作りのローストコーンや菓子類を売り歩く料理人たちは、あちこちで元気な声を上げている。 華麗な光の演出に合わせて踊りを披露したタルタルやミスラのグループは会場を沸かせ、高額な賞金の懸けられたダイスゲームには、一攫千金を夢見る者たちが群がる。
写真 スタッフが事前に公演を依頼しておいたお笑い芸人の寄席には、笑い声が絶えない。

彼らのような陽気な参加者たちのおかげもあってか、この日は前回を上回るほどの大盛況だった。

スタッフたちが、それぞれの想いを胸に賑やかな会場を見守る中、2度目の“Bon-Odori”の夜はゆっくりと更けていった。

さて、この日参加した冒険者たちは、“ひと時の安らぎ”を感じることができただろうか?

もし彼らが、しばしの間でも戦いを忘れ、童心にかえれたのだとしたら、それはこの日のために尽力してきたスタッフたちにとって、この上ない喜びであるに違いない。

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