木工の友人を真似て、入門者向けの楽器「ピッコロ」作りに挑戦したことがあったが、材料費の高さには驚かされた。
そのせいもあってか、伐採に従事する冒険者の多くが木工だと言われている。
ブブリム半島で出会ったSeraphisさんも、そのような木工の1人だった。
最近木工の道に目覚めたという彼女も、材料集めの一環として、伐採を始めたそうだ。
とはいえ、まだ経験が浅いため、どれがよい木かさえも分からずに、右往左往する毎日だという。
そんな彼女を横目に、戦場へと赴くリンクシェルの仲間たちは、「まさかりもいいけれど、戦場で使う斧の方は上達しているのか?」などと冗談を言って笑うらしい。
仲間たちの冷やかしなど気にする様子もなく、彼女は自分の夢について聞かせてくれた。
「まさかり代くらいは……、いえ、伐採と木工の道を極めて、ひと財産築いてみせます!」
その瞳は、ひときわ輝いて見えた。
冒険者たちが伐採に勤しむ理由は、他にもある。次に出会ったRiddleさんは、吟遊詩人だった。
木工職人としては、まだ駆け出しだという彼女だが、自分の手で集めた木材で楽器を作ることを夢見て、伐採の道に入ったという。
吟遊詩人たちは、楽器と一体となって、美しい音楽を生み出す。
もしそれが、自ら材料を集め、心を込めて作った楽器であるなら、どんなに素晴らしいことか。
Riddleさんも、いつかはその夢を叶え、人々の心の琴線に触れる音色を奏でてくれることだろう。