……闇の王の出現は、突然でした。
いいえ。それは正確ではありませんね。
突如、クォン大陸北部ザルカバードに出現した
獣人の新興勢力が
オークやクゥダフ、ヤグードと激しく戦っていることは
どの国の要人も知っていた事実だったのですから。
でも、それが互いに対立していた
獣人勢力を糾合するための予備戦争だ、とまで
見通していた人は少なかったようです。
ですから、10万を超える兵力を揃えて
クォン、ミンダルシア両大陸に
電撃的に侵攻を開始した獣人血盟軍に対し、
各国の軍隊は成す術もありませんでした。
各国軍は敗退を重ね……
サンドリアは、王都を包囲され……
バストゥークは、主要な要塞と制海権を失い……
ウィンダスは、聖都内にまで敵に攻め込まれ……
ジュノは、陸・海、すべての通商路を封鎖されました……。
もはや、アルタナの民の
未来は失われたかに見えました……。