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あなたはどのような理由で戦っているのだろうか? 自国の領土を獲得するため、あるいは依頼された品を探すため。冒険者である以上、常に危険は伴うだろう。だが、回避可能な危険を冒す必要はない。
冒険者が日々練磨する技は、街での生活とは無縁なものだ。もちろん、白魔法のように役立つ技もあるが、それは応用ができるだけで、街の生活のために身につけたものではない。
だが、逆に街での生活のために身につけた技術が、冒険者に有効な技として応用された例もある。それが盗賊の技だ。
持たざる者が、持つ者から最低限のリスクで物を奪う手段。力無き者が、追撃の手から逃れる手段。
「悪徳」と蔑まれながら街の暗部で培われた技が獣人にも通用した時、彼らは、戦いの中へと身を投じた。街を守るために。
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盗賊の技とは戦いのためのものではない。それ故、その技を使う者は直接獣人と戦う危険は避けるべきだ。彼らの俊敏な動きが戦闘の決定打になることはなく、獣人の強烈な一撃を食らえば致命傷にもなりかねないのだから。だが、その俊敏な動きで相手を惑わしかく乱すれば、仲間への援護となり、戦いの危険は大幅に軽減するだろう。冒険者にとって盗賊の技を扱える者は必要なのだ。かつては悪徳とされた技もまた、使い方次第で賞賛されるのだから。
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覚えておくがいい。優れた技を持っていても、悪意を抱いて用いる者は何者にも必要とされないということを。
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