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戦いで大事なのは犠牲者を出さないことだよ。ボクたちが受けるダメージよりも、回復魔法の効果が高ければ、犠牲なんて出たりしないんだ。ボクが指揮をとる限り、誰も失ったりしない。
戦いって恐いよね。実は、どうしても慣れることができなくて、ボクも昔は震えっぱなしだったんだ。 |
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でも、ある時、ただ怯えてるだけじゃ駄目だって気づいた。
ボクは癒しの魔法を唱えられる。ボクが仲間に入るだけで、パーティの誰かがやられちゃう可能性は少なくなる。だからボクは自分の役割に誇りを持つことで、恐怖と戦うことができたんだ。
けど、それだけじゃ足りなかった。ボク1人だと、仲間への回復が間に合わないことも多かったんだ。
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その時はボクだけじゃなくて、全員が未熟だった。獣人を甘く見て、みんな好き勝手に戦ってたんだ。
そのことに気づいてから、ボクは自ら進んでパーティの指揮を執るようになった。戦うのは恐かったけどね。
ボクがリーダーになって、気をつけるようになったことがふたつある。
ひとつは、敵から受けるダメージと仲間の防御力を計算し、回復量を算出しておくこと。もうひとつは、長丁場や連戦にも耐えられるように、ボク以外に白魔法が得意な人を、もう1人スカウトしておくこと。
こうすることで前衛は目の前の敵に専念できるようになって、パーティ全体の攻撃力も上がったんだ。
最近は、戦士や黒魔道士たちが、どう動けばいいのかって勉強もしてる。知識だけでもあれば役立つからね。
だから連戦するかどうかの決断も、絶対にボクが下してるよ。
今でも、リーダーとしての自信なんて、全然ない。でも、ガルカやエルヴァーンの戦士でも、ボクみたいなチビの指示に従ってくれる。
「そりゃもっともだ。よし、そうしよう」って。
そのお礼に、ボクはみんなが怪我しないように、今日も気を配ってあげるんだ。
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