皇都のあるマザカラ半島から、偃月海峡を挟んだ対岸に位置するザザーダ島とボゾルド島。その両島を形成した双子の活火山が、ゼオルム(地獄の裂け目)火山である。トロール傭兵が護るこの一帯は、かつては聖皇からハルブーン傭兵団領として自治を認められていた皇国属領のひとつであった。しかし、領地とはいえ、絶えず降り注ぐ火山塵と時折流出する火山ガスによって、ほとんど植物や動物が生育しない死の土地であったため、魔笛紛争が始まるまでは使者を含めて足を踏み入れる人間はほとんどいなかったようだ。